
冒頭のグラフは大阪市と大阪府の借金の状況についてより大阪市と大阪府の負債残高です。
橋下候補は「大阪市役所から権限と財源をむしり取り」と言っていますが、自分はとうとう大阪府知事の間に借金を上のグラフのように増やすだけ増やしたので、市営地下鉄の黒字化も果たした平松市長が財政再建しつつある大阪市の金を取ってしまおうということなのです。
実際には、維新の会の「大阪都構想」とは、大阪市の権限と財源を奪い、橋下氏に一手に集中させ、リニアだの高速道路だの土建型公共事業を推進することを狙う、まさに「大阪まるごと乗っ取り」の構想です。
この人が大阪市長になり、松井維新の会幹事長が大阪府知事になったら、あっという間に大阪市の財源を食いつぶしてしまうのは必定です。
なにしろ、彼らには大阪の経済を発展させる具体的な策がカジノ・リニア・高速道路以外にないのですから。自分ではなにもできないのに人の成果を横取りしようという魂胆なわけです。
橋下徹・松井一郎氏の維新の会 大阪ダブル選挙マニフェストの経済政策がまたカジノ誘致

上の図のように、大阪都構想とは、大阪市を解体して改編するという構想なのですが、このような改革をするとどのような良いことがあるのか、平松市長に何度突っ込まれても、橋下候補は「大阪都制度になれば、ばちんと決まる」などと言うだけで、答えることが出来ません。
なんやねん、蚊を殺すわけでもあるまいし、ぱちんと決まるって(笑)。
橋下・維新の会の府政では、福祉・教育・文化など府民にとって真に必要な支出を削減しながら、財政赤字の削減どころか、この3年間に物凄い勢いで、大阪の公債(府債すなわち負債)が増えています。
橋下さんの知事選での公約の一つは、「新規に府債を発行しないこと」でした。
ところが発行しないどころか、新発府債を1300億円以上も増やしてしまっているのです。
結果として、大阪の府債=負債の残高は、下のグラフのように平成19年度末に5兆8288億円だったのが、平成22年度末には史上初めて6兆円!を突破し、6兆739億円になってしまいました。
松井大阪府知事と橋下大阪市長の維新の会コンビが当選なら「大阪」は破産する

なぜこんなことになったかというと、カジノ・伊丹空港廃止・リニアなどなど、橋下・維新の会の経済政策がことごとく不発で、橋下府政になってからの大阪府の税収が下のグラフのように減る一方だったからです。
リーマンショック以降、国も地方も苦しんでいるものの、大阪府の税収目減りは全国でもダントツです。

松井・橋下氏らの大阪都構想が実現すると、大阪市がなくなり、下の図のように大阪市の24区は8区に減らされてしまいます。それは、「基礎自治体の人口は最大で30万人までにすべき」だからだというのですが、どうして30万人以下にしないといけないのか全然分かりません。
「知事と大阪市長が横並びになるのはおかしい」というのですが、それは自分の横に平松市長が並ばれるのが嫌だっただけでしょう(笑)。
「僕はカジノに賛成、平松市長は反対。いったい、大阪の方針はどっちなのか、はっきりしない」などとも言うのですが、はからずも、まさに大阪市が存在していて大阪都になっておらず、方針が統一しなくて良かった例になっています。
さらば橋下徹大阪府知事 知事辞職・大阪市長ダブル選挙出馬表明は政治生命終わりの始まり

権力は必ず腐敗します。
ですから、立法・行政・司法の三権分立に典型的に見られるように、権力を分立させ、互いに抑制と均衡をさせることで、権力の濫用による国民の自由と人権の侵害を可及的に防ごうというのが立憲主義の数百年の結論です。
地方自治も中央政府(国)と地方政府(地方公共団体)の権力分立の仕組みでもあります。
二重行政が効率が悪いといって、地方自治体をなくして国だけにして、絶対王政時代のように一国の権力を中央集権化した方が良いなどと言う人はいないでしょう。
大阪府と大阪市がそれぞれ権限と財源を分け合っているのは、国民のために決して悪いことではありません。現に平松市長の反対もあって、カジノ構想は実現しないでいるのですから。
良いことは話し合って協力してやれば良い。討論と妥協が議会制民主主義の真髄です。
権力を一極に集中することは危険です。
それが、まして、橋下・維新の会であればこそ。
橋下徹氏は権力欲を満たすためには自身のお子さんまで利用する。「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」
大阪都構想に対する反論の書をご紹介します。

著者/訳者
出版社名
「橋下知事は、大阪市のずさんな行政経営を淘汰するため、大阪市を壊滅させなければならない、と気炎をあげています。しかし、実態は、大阪府による大阪市の吸収です。
明治22年以来、120年余の輝かしい歴史をもつ大阪市を死滅させてよいのでしょうか。
大阪市財政が放漫であるから、大阪市を解体し、大阪経済の一元的開発をすすめるというのは、無茶苦茶な話です。
大阪都構想は、具体像・内容を提示されないまま、感性だけで、選挙の対象となりつつあります。ポピュリズムにみられる、一般的手法です。」

著者/訳者
出版社名
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