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こちらではお初にお目にかかります。弁護士・元ロースクール教授、宮武嶺の社会派リベラルブログです。

ぶっつづけ山崎豊子


 ケーブルテレビの「日本映画チャンネル」で、現在、山崎豊子原作の映画を2日間ぶっつづけで特集中。

 私は土曜日午後6時に始まった山本薩夫監督、田宮次郎主演の「白い巨塔」を半分見たところでダウン。そのあと、「不毛地帯」が終わり、今、「華麗なる一族」が始まったところです。

 妻イエティがDVDに撮ってくれているのですが、見る気力が沸く日が来るのかなあ。

 この二日間の特集、ほとんど、山本薩夫監督じゃないかと思いますね。日本最高の社会派監督です。「金環蝕」とか、すごかったなあ。

 でも、2日連続でやることないんじゃないのかな~全部一気に見れる人なんていないよ~~重過ぎるよ~~~小錦と10番申しあわせでぶつかり稽古するようなもんだよ~~

 映画版「華麗なる一族」で、父 佐分利信、子 仲代達也だったのを、フジテレビでは、父 北大路欣也、 子 木村拓哉で演じたんだから、キムタク、ほんとに良くがんばったよなあ。

 「白い巨塔」については、唐沢君バージョン(新ドラマ2003年)より、田宮次郎バージョン(旧ドラマ 1978年)だと常々言っているわけですが、田宮次郎バージョンでも、ドラマと映画(1968年)は配役がかなり違ってます。

 っていうか、映画版と旧ドラマ版でさえ、全くの別物。3人しか配役も重なっていない。私が小学校に入学した映画版の昭和43年ってどんな時代だったんだろう。

 一番びっくりしたのが、旧ドラマでは東都大学教授が佐分利信のはずが、あの滝沢(なんていえばいいのかなあ、左翼演劇界の巨魁とでもいえばいいのか)修。出てきたとたんに、「うわ!」と声を上げるほどの迫力でした。

 東教授が東野「ザ・水戸黄門」英治郎。同じ水戸黄門もやった新ドラマの石坂浩二みたいに、後にいい人になる気配一切なし。

 ドラマでは旧では太地喜和子が、新では黒木瞳が演じた主人公財前五郎の愛人にして理解者役を、映画では、小川「女ねずみ小僧」真由美が演じてます。あまりに下品で勝気な役作りに、「俺、財前五郎でなくてよかった。愛人いらない」と公開当時の観客の男性は大いに引きまくったと思われます。いや、昭和43年の男達はあれがいいのか??

 財前五郎の正妻もその父親で五郎の教授戦の資金源となる舅役も、顔は知ってるけど、名前は出てこない、めちゃめちゃ生臭い役者さんがやっています。まさに、田宮次郎だから家族としてやっていけるけど、良識派里見助教授役の田村(正和の兄ちゃん)高広とは、絶対に住む世界が違うということが一目瞭然。旧ドラマの山本学さんだったら即死しそう。

 新ドラマでは矢田亜希子が演じた、里見に憧れる東教授の娘役が、映画では、藤村志保だもんなあ。

 小沢(といえば一郎より)昭太郎は鵜飼医学部長役で旧ドラマと映画に登場。無茶無茶、嫌な奴、怖い奴を怪演。この人はこういう役なら、なんぼでもできるんでしょうね。同じ役を新ドラマでやった伊武雅刀も、演技達者ながら、相当プレッシャーがあったでしょう。

 田宮次郎vs唐沢寿明だけでなく、すべてが年季が入っていて、ギトギトしていて、生臭い、映画版「白い巨塔」と、すべてが清潔であっさりしていて若々しい新ドラマ版。

 ほんとに同じ国なのか、どうして昔はギリシャやトルコ、シチリア、コルシカ島みたいな国だったのに、今は北欧の国みたいになっちゃったのか、とにかく社会が40年間経つ間に、物凄い変化をしたのは確かだと思いますね。

 唐沢くんや里見役の江口洋介とかが、映画版の時代にタイムスリップしても、たぶん若い医局員の役しかもらえないと思います。

 ですが、現代に、田宮次郎とか滝沢修が現れたら、まさに、魔界転生、ちょっとキャラが濃すぎて、ドラマで非常に使いにくい。下手したら、田宮次郎は鵜飼医学部長役になっちまうんじゃないでしょうか。

 芸術的には映画版の方が価値があるのかもしれないけど、今の私には最後まで観る気力なし。もう、薄っぺらくても、北欧で結構です。