
弁護士としては、クリスマス・イブやこの年の瀬はかなしいものがあります。
3件目の離婚事件を抱えて、すべて女性が依頼者なのですが、どの方もそれぞれの悩みを抱えたまま、年を越されるのだろう・・・と。
ある少女は、鑑別所でクリスマス・イブと元旦を迎え、来年の審判では少年院送致決定が濃厚・・・どうやって、裁判所を説得したらいいのか。
ある貸金請求事件の原告は、回収したお金を息子さんの学費の当てにしておられ、相手はそっぽを向いている。裁判で決着をつけるには強制執行の目算がある程度立っていないといけないのだけれど、これは国税庁でも難しい。
ある老人は、今も河川敷のテントで寒さに震えているだろう。役所に翻弄されっぱなしだった彼に、どうやって、生活保護申請の説得をしたらいいのか。
破産、相続、etc.etc.etc.
非常に高名で優秀な人権派の先輩弁護士に、「事件は所詮他人事と思え」とアドバイスされたことがあります。
今では、距離を置いて客観性を持てばこそ、いい仕事が出来るという理屈はよくわかっています。
外科医だって自分の家族のおなかは切らないですよね。対象者と距離が近くなりすぎると専門職はろくな仕事が出来ないのです。
そこが、僕の弁護士としての最大の欠点なのはわかっているんだけど。
気持ちを新たに新年を迎えるには、今年の冬は寒すぎます。