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こちらではお初にお目にかかります。弁護士・元ロースクール教授、宮武嶺の社会派リベラルブログです。

新国立競技場の建設費上限1550億円(冷房なし!)でも、最近の五輪スタジアムの3~5倍で高すぎる。


 

 2015年8月28日、新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議で、新国立競技場の新しい工費の上限は1550億円と決まりました。

 安倍政権は旧計画から約1100億円圧縮したと強調していますが、1550億円という数字は近年の五輪の主会場と比べても3~5倍と飛び抜けて高額で、こんなん、ちっとも安上がりと言えません。

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1550億円でも、最近のオリンピックのメインスタジアム建設費に比べると、およそ3倍から5倍となっています。NHKの調べでは画像の数字よりさらに安く、オリンピックのメインスタジアムの建設費は、いずれも大会開催当時の為替レートの換算で、前回、2012年ロンドン大会がおよそ530億円、2008年北京大会はおよそ500億円となっています。また、2004年アテネ大会は改修費としておよそ360億円、2000年シドニー大会はおよそ460億円、1996年アトランタ大会はおよそ300億円となっています。
 
 
 
 

 しかも、地球温暖化も甚だしい東京で8月にオリンピックをやるのは無茶だ!という意見があるのに、安倍首相が

「冷房いらんやろ?!」

と言いだして(関西弁ではないと思う 笑)、冷房施設全部削って、それでもやっと1550億円だというのです。

 しかし、この建設費は必ずさらに増加します。

 旧計画で工費が乱高下する要因の一つになった東日本大震災の復興やオリンピック開催に伴う人件費や建築資材の高騰は、現在も続いています。

 さらに実は、国際オリンピック委員会(IOC)は新競技場の完成時期を、政府目標より3カ月前倒しして2020年1月とするよう求めています。

 ただでさえ物価が上昇している中で、さらに工期が短縮されれば、労働者や資材を集中的に投入する必要が生じ、工費の高騰につながる可能性は高いのです。

 さらに、消費税率も現行の8%で計算しており、10%になれば工費は膨らみます。

national

もう、何が何だか。

 

 

 安倍首相は熱中症の危険も顧みず、冷房施設を削って、以前に見直した額の1625億円以下に見せて、つじつま合わせをしているだけです。

 そもそも、最初の計画では、五輪史上最大規模の大きさが、工費や建設後の維持費を押し上げる一因とされていたため、新しい計画では延べ床面積(約19万4500平方メートル)も旧計画から13%削減されたが、それでも2012年ロンドン五輪の主会場(約10万9000平方メートル)の倍近いままになっています。

 遠藤利明五輪相は会見で

「削るものは削り、日本のレガシー(遺産)として残せるものという観点も含めて決定した」

と説明しましたが、少子高齢化、日本経済の縮小化の中で、巨大な国立競技場など、遺産と言うよりでかい遺跡になっちゃいそうです。

さあ、地獄のオリンピック跡地めぐりを始めよう。

 

 

 既成概念にとらわれる必要はありません。

 ドーム式にすると建設費用が高いのですが、京セラドームや札幌ドームだって5~700億円で出来てます。

 スタジアムだったら、2002年にFIFAワールドカップ決勝戦をやった7万人収容できる日産スタジアムでも603億円で、最近完成した5万人収容のヤンマースタジアム長居で401億円です。

 これまた最近できた広島カープの本拠地マツダスタジアム(広島市民球場 収容人数3万2000人)なんて90億円!です。

 そもそも、国立競技場の跡地に作ろうとするから高くなるんで、お台場など湾岸の埋め立て地に作ればもっと安上がりです。

 ちゅうか、日産スタジアムでオリンピックの開会式や閉会式や陸上競技をやったらいいんですよ!

 もし、国立競技場を新たに作ったら、作った後50年間の改装費用だけで1000億円かかるそうです。ちなみに、改装費用以外に、大会やコンサートのたびごとに芝生を入れ替える費用もばかになりません。

 巨額の財政赤字を抱えており、しかも、半世紀で人口が半分になると言われるほど日本は少子高齢化が激しいんですから、ミエを張ることなんてありません。

 頭を柔らかくして、ゼロベースで考えましょう!

 

 

 

2020年 東京五輪の黒いカネ
一ノ宮 美成 (著), グループ・K21 (著)
宝島社

なぜか東京での開催が決まった2020年のオリンピック。多くの日本人が歓喜した開催決定だったが、別の意味で満面の笑みを浮かべた人々がいた。かつてバブルの時代の主役となった、既得権益に鋭い嗅覚を持つ政官財、そして暴力団の面々だ。世紀のイベントを追い風にばらまき公共事業にギアを入れた安倍内閣、石原都政のころから仕込まれていた東京再開発バブルのスキーム。巨額税金の巧妙なネコババ、否、還流のスキームがいよいよ発動されたのだ。本書は、「オリンピック万歳!」の熱狂にかき消されてしまい、普段なら底意地の悪い週刊誌から税金の無駄遣いに手厳しい共産党の機関紙「赤旗」まで、誰も書かなかった「2020年東京五輪」にうごめく税金喰いの正体を暴く! 五輪バブルの全貌と金脈の正体を明かす渾身の調査報道。


新国立競技場、何が問題か: オリンピックの17日間と神宮の杜の100年
槇 文彦 (著, 編集), 大野秀敏 (著, 編集)
平凡社

東京屈指を誇る外苑の、歴史的景観、市民の憩いの場は守られるのか。建築界・市民社会に大きな問題を投げかけた、槇文彦のエッセイ、それを論じたシンポジウムの全貌、論考を掲載。

 

異議あり! 新国立競技場――2020年オリンピックを市民の手に (岩波ブックレット)
森まゆみ 編
岩波書店

ずさんで不備の多いコンペから生じた新国立競技場建て替え計画問題。このまま計画案が進めば、神宮外苑の緑は奪われ、莫大な建設費や維持費のかかる巨大競技場が建ってしまう。そして 50年後、100年後の子孫への巨大なツケとなる……。いま私たちに何ができるのか。この問題を市民の目で見つめ直し、五輪と都市計画に市民が関わる道を探る。


街場の五輪論
内田樹 (著), 小田嶋隆 (著), 平川克美 (著)
朝日新聞出版

2020年東京五輪に大いに異議あり! 今、ニッポンには夢ではなく、現実を直視する力が必要だ。

東京五輪開催によって日本社会のシステムの劣化と崩壊は加速する。「汚染水は完全にコントロールされている」「福島から250キロ離れた東京は安全」世界に向けて発信された、この国の欺瞞と思考停止。「被災地は捨てる」という本音。拝金主義の果ての特定秘密保護法。6年後に向けた憂鬱な、あまりに憂鬱な未来図を語りつくす。ネット中心に渦巻く「開催を喜ばない奴は非国民」の同調圧力に屈しない。「炭鉱のカナリア」の役目を引き受ける鼎談である。 


国立競技場の100年: 明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ
後藤健生 著
ミネルヴァ書房

国立競技場はどのように生まれ変わり、その後、どのような歴史を辿っていくのか…。サッカージャーナリストの第一人者が問いかける力作、ついに刊行。



確かに、屋根がないスタジアムなら冷房がない方が普通だというのですが、なんか灼熱地獄的な感じがする。

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2015.8.28 21:51

【新国立競技場】
首相「冷暖房はなくてもいいんじゃないか…」 土壇場で工費カット 驚く遠藤五輪相

新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議であいさつする安倍晋三首相(右端)=28日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影)


 2651億円→1640億→1595億円→1550億円。新国立競技場の整備計画の見直しをめぐっては、ギリギリまで総工費の削減が図られた。遠藤利明五輪相は安倍晋三首相の指示で、お盆明けから2回も新計画案を作り直したという。首相自ら新計画の発表前日となる27日、冷暖房設備のカットを指示するなど土壇場まで調整を続けた結果、旧計画から1101億円もの削減が実現した。

 「冷暖房はなくてもいいんじゃないか…」

 首相は27日、官邸で新計画案を説明した遠藤氏にこう指摘した。これ以上ない削減を行ったと思っていた遠藤氏は驚いた。首相の手元には、冷暖房を盛り込み「総工費1595億円」などと書かれた新計画案のペーパーがあった。

 遠藤氏は7月21日、関係閣僚会議の議長に就任し、新計画作りに着手。お盆明けには、鋼鉄製「キールアーチ」の中止などを盛り込み、「総工費1640億円」との原案をまとめた。

 しかし首相は、平成25年末に財務省と文部科学省が合意した「総工費1625億円」より高額なことから、即座に再検討を指示。遠藤氏は外装などを簡素化する案を作り直し、27日に首相を再訪していたのだ。

 冷暖房設備は、競技場の座席の足元から冷暖気を流し、観客席全体の空調を行う。密閉型屋根のない競技場の座席に空調を入れた例は、世界でほとんどない。

 それでも、下村博文文部科学相と遠藤氏は26日、東京五輪が7月末から始まることを踏まえ、「障害者のためにも必要」などとして導入を確認した。冷暖房が日本の先進技術を世界にアピールする機会になるとも考えたためだ。一方、首相は大会の開閉会式が夜に行われることなどを考慮し、27日の最終打ち合わせまで考えた末に、冷暖房の中止を決断。仕様を落としても節約を優先させた形だ。

 「1595億円」案から冷暖房を外したことで、総工費の見積もりは1540億円に縮減した。ただ、政府は万一の熱中症対策として休憩所などの増設費用を同日中に積算し、ようやく27日夕に「1550億円」案がまとまった。

 関係者によると、複数の自民党幹部は冷暖房を入れた「1595億円」案の段階で了承していたという。首相周辺は「暑さを多少我慢してもらっても、費用の有効活用策を探る。それが首相の肌感覚だ」と語る。(水内茂幸)

 

新国立競技場「上限1550億円」など決定

8月28日 9時05分 NHK

新国立競技場「上限1550億円」など決定
 
政府は新しい国立競技場を巡って関係閣僚会議を開き、焦点の総工費の上限は1550億円とし、観客席はサッカーのワールドカップも開催できるよう8万席への増設も可能とするなどとした新たな整備計画を決定しました。
 
政府は28日、総理大臣官邸で、新しい国立競技場を巡る関係閣僚会議を開き、新たな整備計画を決定しました。
 
それによりますと、基本理念として、▽世界の人々に感動を与える場として、すべてのアスリートが最高の力を発揮でき、▽日本の優れた伝統や文化を世界中に発信し、「日本らしさ」を取り入れた競技場とするなどとしています。
 
そして、競技場の性能について、▽観客席は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際は6万8000程度とするものの、▽サッカーのワールドカップも開催できるよう8万席への増設も可能にするとしています。
 
また▽屋根は観客席の上部のみで▽陸上競技で使用するサブトラックは競技場の徒歩圏内に仮設で設置するとしています。

工期は2020年4月末とし、IOC=国際オリンピック委員会などの要請を踏まえ、設計・施工業者を公募する際に2020年1月末を目標とした技術提案を求め、工期を極力圧縮するとしています。

焦点となっていた総工費の上限は1550億円として、政府は、計画の見直しを決定する前に公表していた2520億円に未公表分を加えた2651億円と比べて、1100億円余り削減したとしています。

一方、財源については、多様な財源の確保に努め、具体的な財源負担の在り方は、今後政府が東京都などと協議を行い、早期に結論を得るものとするとしています。

安倍総理大臣は、関係閣僚会議で「『アスリート第一』の考えのもと、原則として競技に必要な機能に限定した結果、工事費を従来の案より1000億円以上削減し、大幅なコスト抑制を達成することができた。新しい国立競技場は2020年の大会に間に合うよう確実に完成させる必要がある。今後も具体的な整備プロセスを点検し、進ちょく状況を国民に説明してもらいたい」と述べました。

五輪相「国民に理解いただける」

遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「国内外の、これまでの大規模なスタジアムの積算を見ても同等の価格であり、十分に国民に理解いただけると思っている」と述べました。
 
そのうえで、遠藤大臣は「国民から『高額な施設ではダメだ』という意見もあり、削るものはしっかり削って、世界が日本の建築技術を評価し、これからのレガシーとしてしっかりと後世に残せるものという観点を含めて取り組んできた。十分に国民に理解していただけると思うし、ぜひ理解をいただきたい」と述べました。

文部科学相「やむをえない数字」

下村文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、「国民的な感覚からすればもっと安くならなかったのかという思いもあるかもしれないが、建築資材の高騰や人材不足もあり、やむをえない数字だ。1550億円が総工費の上限なので、建設業者にはよりコストが安くなるよう、創意工夫をした提案をしてもらえればありがたい」と述べました。

都知事 都民納得の負担を検討

政府が決定した新しい国立競技場の整備計画について、東京都の舛添知事は「コストが削減されたうえ、アスリートを第一に考えた計画になった。大会までにはリハーサルやプレイベントがあるので、開催都市の知事として2020年1月までに完成させてほしい」と述べました。
また、都が費用の一部負担を求められていることについては「都の費用負担をどうするかはこれからの検討だ。どういう形で財源を持ってくるか、国と話し合いをスタートして積み上げていくことになる」と述べ、今後、国と協議しながら都民に納得のいく負担の在り方を検討していく考えを示しました。

サッカー協会「配慮に心から感謝」

新しい国立競技場について、日本サッカー協会は、ワールドカップの招致を進めるうえで開幕戦と決勝の会場となるスタジアムの収容人数が8万人以上とされているとして、8万人の収容人数などを確保するよう求めてきました。28日に発表された新たな整備計画で、「8万席への増設も可能にする」となったことを受け、日本サッカー協会の大仁邦彌会長は、「将来のワールドカップ招致にも配慮していただき、サッカー界として心から感謝しています。アスリートにとっても観客にとってもすばらしいスタジアムが実現することを期待しています」というコメントを出しました。

今後のスケジュール

新国立競技場について、今後、予定されているスケジュールです。
来月1日に、設計から施工を一貫して発注する「公募型プロポーザル方式」で業者の募集が始まり、来年1月までに決定します。
そして、価格などの交渉を経て、来年の年末をめどに着工が予定されています。
完成時期については、2020年4月末までにとしていますが、IOC=国際オリンピック委員会から2020年1月に前倒しするよう求められているため、工期を極力圧縮するとしています。

過去のメインスタジアムの建設費

28日に決まった新しい国立競技場の整備計画で総工費の上限は1550億円とされ、政府は、計画の見直しを決定する前に公表していた2520億円に未公表分を加えた2651億円と比べて、1100億円余り削減したとしています。それでも、最近のオリンピックのメインスタジアム建設費に比べると、およそ3倍から5倍となっています。

ロンドン市役所や中国政府の資料によりますと、オリンピックのメインスタジアムの建設費は、いずれも大会開催当時の為替レートの換算で、前回、2012年ロンドン大会がおよそ530億円、2008年北京大会はおよそ500億円となっています。また、2004年アテネ大会は改修費としておよそ360億円、2000年シドニー大会はおよそ460億円、1996年アトランタ大会はおよそ300億円となっています。
 
 

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