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こちらではお初にお目にかかります。弁護士・元ロースクール教授、宮武嶺の社会派リベラルブログです。

これは贈収賄事件でしょうが!


 以下、推定無罪の原則(有罪判決が確定するまでは無罪として扱われるという、近代法の大原則)を心に刻んで読んでください。

「小沢幹事長側に1億円」 水谷建設の関係者供述 神戸新聞 11月19日

              写真は小沢一郎氏、石川知裕氏、大久保隆規被告人

 民主党の小沢一郎幹事長側に、重機械土木大手「水谷建設」(三重県桑名市)の関係者が「2004~05年、計1億円の現金を渡した」と東京地検特捜部の調べに供述していることが18日、分かった。この関係者を含む複数が共同通信の取材に対し認めた。
 小沢氏関連政治団体の04、05年の政治資金収支報告書には、該当する寄付などの記載は見当たらず、供述通りなら、献金の不記載などを禁じた政治資金規正法に抵触する可能性が浮上。裏献金の疑いもあり、特捜部は慎重に捜査している。
 国会などであらためて小沢氏に説明を求める声が高まりそうだ。
 小沢氏関連政治団体をめぐっては、特捜部が3月、西松建設の巨額献金事件で小沢氏の公設第1秘書で資金管理団体「陸山会」の元会計責任者大久保隆規被告(48)=公判前整理手続き中=を起訴している。
国が建設を進める胆沢ダム工事の下請けに参入できるよう、県内の大型公共工事の業者選定に影響力があったとされる小沢氏側に現金を渡すことを決めた。小沢氏の秘書が現金を受け取った、としている。
 
 当時、小沢事務所でゼネコンの窓口だったのが大久保被告。献金の事務処理については、05年まで秘書を務めた石川知裕衆院議員(36)が主に担当していた。




 服役中の水谷建設の元トップ水谷元会長が検察の事情聴取に資金提供を供述したという報道もある。だとすれば、マスメディアが取材したのではなくて、東京地検特捜部の意図的なリークである。

 政治資金規正法の問題として報道しているマス・メディアばかりだが、これは、職務権限の問題さえクリアできたら、贈収賄事件ですよ。

刑法197条1項 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。

 具体的に胆沢ダム工事の下請けに参入という請託を受けて5000万円受け取ったら、そりゃ、197条1項後段の受託収賄罪だよ。

(以下受験生へ。それで、さらに政治家が不正な行為をしたり相当な行為をしなかったりしたら、197条の3 加重収賄罪で懲役1年以上。ということは懲役20年まであるってことだよね。論文にもでかねないけど、まず、短答試験用に整理しておくこと)

 こういうのを昔からマスコミ用語、政治用語で、疑獄事件っていうんだよねえ。

 政権党の幹事長の疑獄事件といえば、後の首相、佐藤栄作幹事長の造船疑獄以来だ。

(受験生は、憲法の国政調査権が検察庁に及ぶかの論点をすぐさま思い浮かべなければならない)


 東京地検特捜部はなぜ政治資金規正法違反なんていう形式犯でリークしてるのか。
 小沢議員の職務権限にこのダム下請け業者選定まではいっているという立証に自信がないのか。
 それとも、ただ、定期的に小沢氏に威嚇をしたいだけなのか。
 いやいや小沢氏と民主党が検察庁の触れてはならない聖域に踏み込もうとしたので、事前に警報を発令したのか。

 裏金という言葉は出てきても、収賄という言葉の出てこないマス・メディアは本当に不思議だ。そういうリークのされ方をして、そのまま記事を書いているのだろう。

 また、この事件は、まさに、贈収賄事件は必ず賄賂を贈った側から漏れる、という歴史的鉄則を思い出させてくれる点でも興味深い。


推定無罪を忘れずに。