
自民党代表選挙で、「本命」、とも呼ばれる麻生太郎氏が2007年7月にご出版された本の題名が、表題です。
同氏は、先日の豪雨被害で「岡崎や安城だからよかったが、名古屋なら大変」という発言をされたそうです。
その地域では死者も出ておられます。被災住民が復旧作業におわれておられます。両市の市長が抗議文をおくったのとも当然のことでございましょう。
なぜこんな発言がでるのでしょうか。ただの失言でしょうか。
「とてつもない日本」の前半に、とてつもない逸話が書かれています。
麻生氏がインドを訪問した際に、同地の地下鉄建設に派遣された日本人技術者が時間や納期を守る仕事ぶりに感謝されたという話。
麻生氏はこう書いています。
「日本ではよく『カローシ(過労死)』を例に挙げて、日本人は働き過ぎだ、日本人の働き方は間違っているという人がいる。だがそれはあまりにも自虐的で、自らを卑下しすぎていないだろうか。『ノーキ』を守る勤勉さは、私たちが思っている以上に、すばらしい美徳なのである」
なんとユニークな発想でしょう。
誰も、過労死するほど働きたいと思っていません。
愛する家族や恋人を残して死にたいなどと思っていません。過労死するような働き方を、労働者の「勤勉」とおっしゃり、これを「美徳」と持ち上げる。
さすが、政治家の三代目、麻生セメントの元社長は、国民目線と申せましょう。
代表選に出ている候補で最も「経験」豊かなのが麻生氏であります。外務大臣もつとめておられます。
麻生氏は、同書でこう語っておられます。
「学級のクラスを想像してほしい。一番大きい顔をしているのは誰か。もちろん喧嘩の強いA君だ。一方B君は、腕力はそれほどでもないが、カッコよくて頭もいい。一目置かれる存在だ。そして、C君は、腕力もないし、身につけている服や持ち物は個性的で良質なのにカッコよくないけどお金持ちの子」
A君はアメリカ、B君はフランス、C君は日本なのだそうです。
そして。、彼の外交哲学。
「C君はいじめられないためにどうすればよいのか」、と問いかけ、素晴らしい 外交哲学を披露なさいます。
「従来どおりアメリカと同一歩調をとることを基本姿勢とするのが、日本にとって得策と考えていいのではないか」「身の安全を自力だけで守ることができないのであれば、ケンカの強いA君と仲良くするというのは、子供でも知っている生活の知恵ではないだろうか」
ジャイアンには逆らわないのが無難だよ、と、麻生氏は教育論まで展開されているわけです。
クラスで話し合いをして暴力やいじめをなくすために努力している子供たちもいるでしょう。地球で同じように頑張っている大人たちもいる。
しかし、麻生氏は、「いじめられないためには、喧嘩の強い子と仲良くするのが生活の知恵」と諭します。
む~~ん。
なぜ、保守系の方々に人気が絶大なのか、全然わかりません。
「とてつもない日本」になりそうな予感はひしひしとしてきましたが。