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こちらではお初にお目にかかります。弁護士・元ロースクール教授、宮武嶺の社会派リベラルブログです。

高市早苗内閣総理大臣の所信表明演説中に「しっかりしろ!」「何言ってるかわからんだろ!」「統一教会!」「裏金問題の全容解明をしましょう!」などの怒号が飛んだ。

高市早苗自民党新総裁が、「統一教会の親族」とまで言われた萩生田光一氏を幹事長代行に抜擢。高市氏自身が統一教会と手を切る気がなく、自民党政治とカネの問題も温存する気満々なことの象徴だ。

 

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 本日、2025年10月24日、高市早苗内閣総理大臣の所信表明演説が行われました。

 わたくしもそれまで日本についての記事は書かないで、ウクライナ戦争の記事を書いて待機していたんですが、肩透かしというか、スカみたいな演説でしたね。

 議場内からは

「しっかりしろ!」

「何言ってるか分からんだろ!」

という野次が飛びましたが、そうそう、一番びっくりしたのは物価高対策がなかったことです。

 

 

 わたくし、今週、とうとう米がなくなって、新潟産コシヒカリを久しぶりに買ったのですが、なんと5300円台ですよ。

 去年の前半より2000円高いんです。

 財布も痛いけど、食道をがんで全摘手術してから素麺が主食になってしまっていまして(笑)、コメはのどに詰まるのでめったに食べない為、この値段でも買えてしまうのですが、こんな高いコメを買った自分に罪悪感も生じるわけです。

 これ、母子家庭とか生活保護世帯だと絶対に買えないよな。。。。と。

この人が財務大臣。

かつて生活保護受給者に「さもしい顔してもらえるものはもらおうとか弱者のフリして」と悪罵を投げつけた高市早苗総裁は、人の心の機微がわからないから公明党に去られた。

 

 

 それで物価高対策にはやはり一番着目していたのですが、高市首相の話の中で、物価高の一番の原因である円安対策については、そもそも円安という言葉が一度も出て来ません。

 演説文の中の長さとしては「3 物価高対策」という章が一番長いのに、具体策として出てきたのはガソリン暫定税率の廃止だけ。

 でもそれは石破前政権から既定路線でしょう。

 あとは

「既に経済対策の策定に着手するよう指示を行いました。野党の皆様との真摯な対話と合意を積み重ねながら、速やかに対策を取りまとめ、必要な補正予算を国会に提出いたします。国民の皆様の暮らしを守る経済対策・補正予算となるよう、与野党で知恵を結集しましょう。」

って、これ、野党への抱きつき戦術じゃないんですか。

円相場は安定するのか 「高市政権」と米利下げ観測、双方に変動要因 - 日本経済新聞

【#高市やばい】円安のまま株価だけ下がる「高市トレード」の逆流・巻き戻しが始まった。日経平均株価は700円下がり、1ドルは150円以上のまま(-_-;)【#高市やめろ】

 

 

 それで米価対策をどうするのか探してみたら、5に「食料安全保障」という章があるのですが、これが演説全文の中で最短。

「地域を活性化させ、食料安全保障を確保する観点から、農林水産業の振興が重要です。農業については、5年間の「農業構造転換集中対策期間」において別枠予算を確保します。世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業を創り出します。」

というのですが、コメを増産するのか減産するのかもわかりません。

 まさに

「はっきりしろ!」

って感じ。

 

 

 実は農林水産省出身の鈴木憲和新農相が就任の記者会見で

「需要に応じた生産が原理原則。マーケットありきでの生産を考えていく」

と言い出しまして、これつまり減産ってことなんです。

 実際、農林水産省のHPでは2024年は679万トンだったコメの生産が2025年には747万トンになる予想だが、来年は711万トンにするって書いてあります。

 今年の米価の暴騰でコメ不足になったらどうなるか身に沁みたはずなのに、また生産調整に戻るとか、これじゃあ

「何言ってるか分からんだろ!」

という野次も飛びますよ。

小泉前大臣よりさらに1歳若いのだが、頼んないなあ、この人も。

 

 

 ところが、高市首相はタカ派一番らしく、軍事費に関してはやはり

「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します」

という高市氏お決まりの決め台詞を持ち出して、

『国家安全保障戦略に定める「対GDP比2%水準」について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じます。』

というんです。

 今年は前年度10%増で7・9兆円の軍事費のはずがいきなり11兆円にするということは、補正予算のうち3兆円以上を軍事費に回して、前年比40%増にするってこと?

 戦時中かよ!

 そんなとてつもないムダ金あったら、福祉や教育に回せよ!

【#自民党に殺される】高市早苗新総理が就任最初の記者会見で安保3文書の改訂と軍事費増額の前倒しに言及。トランプ政権は2022年の4倍の年22兆円の軍事費を要求。物価高で苦しむ国民を殺す気か。

 

 

 そのくせ、高市首相は社会保障に関しては

『人口減少・少子高齢化を乗り切るためには、社会保障制度における給付と負担の在り方について、国民的議論が必要です。超党派かつ有識者も交えた国民会議を設置し、給付付き税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について議論してまいります。野党の皆様にもご参加いただき、共に議論を進めてまいりましょう。』

って、これ、国民民主党の医療切り捨てに乗っかるということですからね。

 こんなことやってて、日本が世界の真ん中で咲き誇るどころか、真っ先に枯れちゃうに決まってるじゃん。

自民党でも一番ヤバい右翼議員が大臣に。

高市早苗自民党総裁が今度は極右参政党の神谷宗幣代表に触手、首相指名投票で協力要請。スパイ防止法などについても意見交換。神谷代表「石破現総理よりも近いと思っている」。そりゃそうやろ!

 

 

参考記事

kojitakenの日記さんより

高市早苗のいう「責任ある積極財政」とは「国家総動員体制」を意味するのではないか

 

 

 

編集後記

参考記事

村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

日本人に差別される外国人よりも、外国人を差別する日本人の方が、私にとっては恐ろしい。

 

高市首相の所信表明演説で危険だなと思ったのは軍拡もさることながら、排外主義とは一線画しますがと言いながら

「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることも、また事実です」

といったこと。

国民民主党の玉木雄一郎代表や参政党の神谷宗幣代表が盛んに外国人差別デマを流すわけですが、外国人より日本人の犯罪の方が多いのに、排外主義でないなら、なんでこんなことを生まれて初めての総理としての国会演説でわざわざ言うんですかね。

ほんとに一番たちの悪いのは右翼だとしみじみ思いました。

 

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防衛費2%今年度達成、戦略的に財政出動 高市首相が所信表明

竹本能文
2025年10月24日午後 3:26 GMT+92時間前更新 ロイター

防衛費2%今年度達成、戦略的に財政出動 高市首相が所信表明 | ロイター
防衛費2%今年度達成、戦略的に財政出動 高市首相が所信表明


 10月24日、高市早苗首相(写真)は所信表明演説で、防衛費を国内総生産(GDP)比2%へ引き上げる目標を2年前倒して今年度中に実現するとともに、国家安全保障戦略など安保関連3文書を来年中に改定することを目指すと語った。写真は、国会で所信表明演説を行う同首相。都内で24日撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 24日 ロイター] - 高市早苗首相は24日の所信表明演説で、防衛費を国内総生産(GDP)比2%へ引き上げる目標を2年前倒して今年度中に実現するとともに、国家安全保障戦略など安保関連3文書を来年中に改定することを目指すと語った。同文書は2027年度まで5年間の防衛費を43兆円へ積み増す根拠となっており、改定すればさらなる増額へ道を開くことになる。
経済・財政政策については「経済あっての財政」との考え方が基本だとし、戦略的に財政出動を行うとした。財政健全化の指標として財務省や自民党が重視してきた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)には触れず、政府債務残高をGDP比で引き下げると説明。「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保する」と強調した。
21日の首相就任時に策定を指示した経済対策は、「速やかに取りまとめ、補正予算を(今)国会に提出する」とした。連立政権を組んだ日本維新の会と合意しているガソリン暫定税率廃止は今国会で廃止法案を成立させ、軽油引取税の暫定税率も早期廃止目指すことを掲げた。自治体向け重点支援地方交付金を拡充することや、冬期に電気・ガス料金を支援することも明言した。

成長戦略では「日本成長戦略会議」を立ち上げ、AI(人工知能)、半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティなどの分野で「官民の積極を投資引き出す」とした。「原子力やペロブスカイト太陽電池など国産エネルギーは重要」と述べ、「次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期社会実装を目指す」とも話した。
岸田文雄政権が掲げた「資産運用立国」に向けた貯蓄から投資への取り組みは継続する方針を示した。同時に、対外投資の偏重が円安要因ともされていることを踏まえ、「金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略を策定する」とした。
外国人増加による社会問題への対処を強化する方針にも言及した。人手不足で人材が必要なことや、訪日外国人が観光業にプラスの影響があることは認めつつ、違法行為があったりルールから逸脱したりした場合は「政府として毅然と対応する」とした。「政府の司令塔機能を強化し、土地取得等のルールのあり方についても検討を進める」とも述べた。
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一方、維新との連立協議で合意したスパイ防止法については触れなかった。政府関係者によると、来年の通常国会で取り上げるためだという。
外交方針では27─29日に予定しているトランプ米大統領の訪日に言及。信頼関係を構築するとともに日米関係をさらに強化すると強調した。韓国と中国について「重要な隣国」と表現し、韓国とは首脳間の対話を通じて関係強化を図る考えを示した。
中国とは「安全保障上の懸念事項が存在する」とした上で、「首脳同士で率直に対話を重ね、戦略的な互恵関係を包括的に推進する」と述べた。

 

 

 

 

高市早苗首相の24日の所信表明演説の全文は次の通り。
衆院本会議で所信表明演説をする高市首相(24日)

1 はじめに

私は日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り開く責任を担い、この場に立っております。

今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済をつくる。そして、日本列島を強く豊かにしていく。世界が直面する課題に向き合い、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す。絶対にあきらめない決意をもって、国家国民のため、果敢に働いてまいります。

「政治の安定」なくして、力強い経済政策も、力強い外交・安全保障政策も、推進していくことはできない。この思いを胸に、「日本再起」を目指す広範な政策合意の下、自由民主党、日本維新の会による連立政権を樹立いたしました。

さらに、国家国民のため、政治を安定させる。政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案をお受けし、柔軟に真摯に議論してまいります。国民の皆様の政治への信頼を回復するための改革にも全力で取り組んでまいります。

それが国家国民のためであるならば、決してあきらめない。これが、この内閣の不動の方針です。

2 経済財政政策の基本方針

何を実行するにしても、「強い経済」をつくることが必要です。そのための経済財政政策の基本方針を申し述べます。

この内閣では「経済あっての財政」の考え方を基本とします。「強い経済」を構築するため、「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行います。これにより、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させることを目指します。この好循環を実現することによって、国民の皆様に景気回復の果実を実感していただき、不安を希望に変えていきます。

こうした道筋を通じ、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。

3 物価高対策

この内閣が最優先で取り組むことは、国民の皆様が直面している物価高への対応です。暮らしの安心を確実かつ迅速に届けてまいります。

物価上昇を上回る賃上げが必要ですが、それを事業者に丸投げしてしまっては事業者の経営が苦しくなるだけです。継続的に賃上げできる環境を整えることこそが、政府の役割です。

しかし、実質賃金の継続的上昇が定着するまでには、一定の時間を要します。また、米国の関税措置の影響を受ける事業者への対応、経営難が深刻化する医療機関や介護施設への支援なども急を要します。

既に経済対策の策定に着手するよう指示を行いました。野党の皆様との真摯な対話と合意を積み重ねながら、速やかに対策を取りまとめ、必要な補正予算を国会に提出いたします。国民の皆様の暮らしを守る経済対策・補正予算となるよう、与野党で知恵を結集しましょう。

自由民主党がこの夏の参議院議員選挙で公約として掲げた給付金については、国民の皆様のご理解が得られなかったことから実施しません。むしろ、物価高に関する国民の皆様のご懸念一つ一つに、丁寧に対策をとっていきます。

まず、いわゆるガソリン税の暫定税率については、各党間の議論を踏まえ、今国会での廃止法案の成立を期します。軽油引取税の暫定税率も、早期の廃止を目指します。これらの廃止に伴い必要となる国及び地方自治体の安定財源を確保しつつ、廃止までの間も、補助金を活用することで、価格引き下げに対応します。

国民の皆様の命を守り、安心して必要なサービスを受けていただくためにも、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしです。診療報酬・介護報酬については、賃上げ・物価高を適切に反映させていきますが、報酬改定の時期を待たず、経営の改善及び従業者の処遇改善につながる補助金を措置して、効果を前倒しします。

加えて、国・地方自治体から民間への請負契約単価を、物価上昇などを踏まえて適切に見直します。

コスト高から中小企業・小規模事業者を守ります。生産性向上支援、事業承継やM&Aの環境整備、更なる取引適正化などを通じ、賃上げと設備投資を強力に後押しします。自治体向けの重点支援地方交付金を拡充します。物価高の影響を受ける生活者や、賃上げ税制を活用できない中小企業・小規模事業者、さらには農林水産業などを支援する推奨メニューを設け、地域の実情に合った的確な支援を速やかにお届けいたします。あわせて寒さが厳しい冬の間の電気・ガス料金の支援も行います。

いわゆる103万円の壁については、これまでの政党間の協議を踏まえ、今年の年末調整では160万円まで対応することといたしますが、基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置について真摯に議論を進めます。

いわゆる高校の無償化・給食の無償化についても、これまで党派を超えて積み重ねてきた議論を踏まえ、制度設計の議論を進め、安定財源の確保とあわせて来年4月から実施します。この機会に財政支援にとどまらず、日本の高校教育の在り方についても見直しを進めます。

そして、税・社会保険料負担で苦しむ中・低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにしなければなりません。早期に給付付き税額控除の制度設計に着手します。

米国の関税措置に対しては、中小企業向けの資金繰り支援など、事業者の状況やニーズに応じた支援メニューを用意し、影響の緩和に万全を期します。

4 大胆な「危機管理投資」による力強い経済成長

中長期的には、日本経済のパイを大きくしていくことが重要です。我が国の課題を解決することに資する先端技術を開花させることで、日本経済の強い成長の実現を目指します。そのために、「日本成長戦略会議」を立ち上げます。

この内閣における成長戦略の肝は、「危機管理投資」です。経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化対策などの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携えて先手を打って行う戦略的な投資です。世界共通の課題解決に資する製品・サービス・インフラを提供できれば、更なる日本の成長につながります。未来への不安を希望に変え、経済の新たな成長を切り開きます。

AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティーなどの戦略分野に対して、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興、研究開発、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合支援策を講ずることで、官民の積極投資を引き出します。

「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指して、データ連携などを通じ、AIをはじめとする新しいデジタル技術の研究開発及び産業化を加速させます。加えて、コンテンツ産業を含めたデジタル関連産業の海外展開を支援します。

坂口志文さん、北川進さんのノーベル賞受賞をお祝い申し上げます。強い経済の基盤となるのは、優れた科学技術力であり、イノベーションを興すことのできる人材です。公教育の強化や大学改革を進めるとともに、科学技術・人材育成に資する戦略的支援を行い、「新技術立国」を目指します。

そして成長戦略を加速させるためには、金融の力が必要です。「資産運用立国」に向けた貯蓄から投資への取り組みの成果に基づき、金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略を策定し、官民連携で取り組んでいきます。

こうして日本の供給構造を強化し、世界の投資家が信頼を寄せる経済を実現することで、世界の資本が流れ込む好循環を生み出します。

5 食料安全保障

地域を活性化させ、食料安全保障を確保する観点から、農林水産業の振興が重要です。農業については、5年間の「農業構造転換集中対策期間」において別枠予算を確保します。世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業を創り出します。

6 エネルギー安全保障

国民生活及び国内産業を持続させ、更に立地競争力を強化していくために、エネルギーの安定的で安価な供給が不可欠です。特に、原子力やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギーは重要です。GX予算を用いながら、地域の理解や環境への配慮を前提に、脱炭素電源を最大限活用するとともに、光電融合技術などによる徹底した省エネや燃料転換を進めます。また、次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装を目指します。

こうした施策を直ちに具体化させてまいります。我が国の総力を挙げて、強い経済を実現していこうではありませんか。

7 令和の国土強靱化対策

日本は世界有数の災害大国です。南海トラフ地震、首都直下地震などの巨大災害に対する事前防災、そして発生してしまった災害の応急対策、復旧・復興は、国として対応すべき最優先課題です。

防災体制の抜本的強化を図るべく、来年度の防災庁の設立に向け、準備を加速します。あわせて、国・自治体によるシミュレーションによりリスクを総点検し、デジタル技術や衛星情報、電磁波、ドローンなども活用しながら、防災インフラ、老朽化したインフラの整備・保全をはじめ、ハード・ソフトの両面で、事前防災・予防保全を徹底します。

自然災害の頻発化・激甚化に対し、予測技術の向上などを踏まえ、洪水の特別警報や高潮の共同予報・警報を新たに実施する制度改正を行います。

首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築し、首都機能分散及び多極分散型経済圏を形成する観点から、首都及び副首都の責務と機能に関する検討を急ぎます。

「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」。被災者の皆様の生活や産業・生業の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進などに取り組みます。能登半島地震からもうすぐ2年。そして、復興中の奥能登を襲った豪雨から一年が経ちました。能登の賑わいと笑顔を一日も早く取り戻すため、インフラの復旧を急ぐとともに、被災者の皆様の生活支援や生業再建、伝統産業の復興も進めます。

8 健康医療安全保障

国民の皆様の命と健康を守ることは、重要な安全保障です。

人口減少・少子高齢化を乗り切るためには、社会保障制度における給付と負担の在り方について、国民的議論が必要です。超党派かつ有識者も交えた国民会議を設置し、給付付き税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について議論してまいります。野党の皆様にもご参加いただき、共に議論を進めてまいりましょう。

これまでの政党間合意も踏まえ、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しや、電子カルテを含む医療機関の電子化、データヘルスなどを通じた効率的で質の高い医療の実現などについて、迅速に検討を進めます。

高齢化に対応した医療体制の再構築も必要です。入院だけでなく、外来・在宅医療や介護との連携を含む新しい地域医療構想を策定するとともに、地域での協議を促します。加えて、医師の偏在是正に向けた総合的な対策を講じます。あわせて、新たな地域医療構想に向けた病床の適正化を進めます。

こうした社会保障制度改革を進めていく中で、現役世代の保険料負担を抑えます。当面の対応が急がれるテーマについては、早急に議論を進めます。

また、「攻めの予防医療」を徹底し、健康寿命の延伸を図り、皆が元気に活躍し、社会保障の担い手となっていただけるように取り組みます。特に性差に由来した健康課題への対応を加速します。私は長年、女性の生涯にわたる健康の課題に取り組んでまいりましたが、昨年「女性の健康総合センター」が設立されました。本センターを司令塔に女性特有の疾患について診療拠点の整備や研究、人材育成などに取り組むなど、その成果を全国に広げてまいります。

9 地方と暮らしを守る

【地域未来戦略】

「事を論ずるには、まさに己れの地、己れの身より見を起こすべし、すなわち着実と為す」

吉田松陰先生の言葉のとおり、地方の活力はすなわち日本の活力であることを、身をもって知っております。地方が持つ伸び代を活かし、そこに暮らす住民の皆様の暮らしと安全を守ってまいります。

国による一歩前に出た支援の結果、TSMCが進出した熊本県、ラピダスが立地した北海道では、関連する投資が誘発され、様々な経済効果が現れ始めています。こうした事例を全国各地に次々と生み出していこうではありませんか。

地域を超えたビジネス展開を図る中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずることで、地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成していくことで、「地域未来戦略」を推進します。

テクノロジーや地域資源を活用した付加価値の創出・地域外へのビジネス展開支援、二地域居住を含む関係人口創出、稼げる農林水産業の創出などを通じて、農山漁村・中山間地域をはじめ地方に活力を取り戻します。

また、若者や女性を含めて地方に住み続けられるようにします。そのためには、質の高い教育をはじめ、必要な行政サービスを受けられるようにする必要があります。税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組みます。

【人口政策・外国人対策】

日本の最大の問題は人口減少であるとの認識に立ち、子供・子育て政策を含む人口減少対策を検討していく体制を構築します。

人口減少に伴う人手不足の状況において、外国人材を必要とする分野があることは事実です。インバウンド観光も重要です。

しかし、一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることも、また事実です。排外主義とは一線を画しますが、こうした行為には、政府として毅然と対応します。政府の司令塔機能を強化し、既存のルールの遵守を求めるとともに、土地取得などのルールのあり方についても検討を進めてまいります。そのため、新たに担当大臣を置きました。

【治安・安全の確保】

インターネットを悪用した新たな犯罪行為などにも、法規制の強化をはじめとして厳正に対応していきます。

「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に掲げられた取組を着実に実施するとともに、法制度を含めた必要な検討を加速し、いわゆるトクリュウの撲滅を目指します。

新たな技術を悪用したストーカー行為などや配偶者からの暴力の被害を防止するため、法規制を強化します。

規制の強化に加え、法制度の時代に即した見直しも進めてまいります。再犯防止のために重要な保護司について、安全確保策の充実を図るなど、制度の持続可能性を高めるための措置を講じます。また、確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しについて検討を進めます。

10 外交・安全保障

我々が慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、大きく揺らいでいます。

同時に、我が国周辺ではいずれも隣国である、中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向などが深刻な懸念となっています。

こうした国際情勢の下、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します。

日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸です。日米両国が直面する課題に対し、しっかりと連携し、日米同盟の抑止力・対処力を高めていきます。私自身、トランプ大統領が訪日される機会にお会いし、首脳同士の信頼関係を構築しつつ、日米関係を更なる高みに引き上げてまいります。また、日米同盟を基軸とし、日米韓、日米フィリピン、日米豪印などの多角的な安全保障協議も深めてまいります。

在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の皆様のご理解とご協力を得ることが不可欠です。沖縄県を含む基地負担軽減に引き続き取り組みます。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、強い沖縄経済を作ります。

「自由で開かれたインド太平洋」を、外交の柱として引き続き力強く推進し、時代に合わせて進化させていくとともに、そのビジョンの下で、基本的価値を共有する同志国やグローバルサウス諸国との連携強化に取り組みます。

いわゆるCPTPPについて、戦略的観点から、締約国の拡大に努めます。

重要な隣国である韓国とは首脳間の対話を通じ、関係強化を図りたいと考えます。

ASEAN諸国との今後の更なる関係強化も進めていきます。

中国は、日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があります。他方、日中間には経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在することも事実です。日中首脳同士で率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していきます。

北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。また、被害者やご家族がご高齢となる中で、拉致問題はこの内閣の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早いご帰国を実現するために、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。

ロシアによるウクライナ侵略について、力による一方的な現状変更の試みを許してはなりません。日露関係は厳しい状況にありますが、日本政府の方針は、領土問題を解決し、平和条約を締結することです。

2022年12月の国家安全保障戦略をはじめとする「三文書」の策定以降、新しい戦い方の顕在化など、様々な安全保障環境の変化も見られます。我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要です。このため、国家安全保障戦略に定める「対GDP比2%水準」について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じます。また、来年中に「三文書」を改定することを目指し、検討を開始します。防衛力そのものである防衛生産基盤・技術基盤の強化、防衛力の中核である自衛官の処遇改善にも努めます。

11 憲法改正・皇室典範改正・昭和100周年

憲法改正について、私が総理として在任している間に国会による発議を実現していただくため、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の皆様の間での積極的な議論が深まっていくことを期待します。

また、安定的な皇位継承などの在り方に関する各党各会派の議論が深まり、皇室典範の改正につながることを期待しています。

今年は昭和100年、来年は昭和100周年に当たります。昭和は、戦争、終戦、復興、高度経済成長といった、未曾有の変革を経験した時代です。記念式典などの関連施策を通じ、この機会を国家的な節目と捉え、先人の叡智と努力に学ぶとともに、平和の誓いを継承し、国際社会の安定と繁栄への貢献につなげる機会としたいと思います。

12 むすび

以上、ここに述べました所信に則り、必ずや日本列島を強く豊かに、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります。

「事ひとり断(さだ)むべからず。必ず衆(もろとも)とともによろしく論(あげつら)ふべし」

古来より、我が国においては衆議が重視されてきました。政治とは、独断ではなく、共に語り、共に悩み、共に決める営みです。私は国家国民のため、各党の皆様と真摯に向き合い、未来を築いてまいります。

どうか皆様、共に日本の新たな一歩を踏み出しましょう。

 

 

コメ政策「増産から再び減産」か 高市内閣で“小泉前農水大臣の前の状況”に戻りそう? 新農水大臣の鈴木憲和氏は農水省の官僚出身「趣味はおいしいお米探し」【大石邦彦が解説】

10/23(木) 17:52配信

CBCテレビ

(大石邦彦論説室長)
船出した高市政権。コメ対策は今後どうなるのか。一言でいうと“小泉前農水大臣の前の状況”に戻りそうだということなんです。

【写真を見る】コメ政策「増産から再び減産」か 高市内閣で“小泉前農水大臣の前の状況”に戻りそう? 新農水大臣の鈴木憲和氏は農水省の官僚出身「趣味はおいしいお米探し」【大石邦彦が解説】

■石破前総理は増産に舵を切ったが…

江藤農水大臣の辞任から緊急登板した小泉前農水大臣の在任期間は5か月だったんですが、その間に日本の農政は大きく変わりました。石破前総理は「コメ生産量に不足があったことを受け止め、増産に舵を切る」と言いました。

コメ不足による価格高騰の反省をして「増産しますよ」と言ったわけですね。半世紀にわたって事実上続いてきたのが「減反政策」。これをやめて現場に増産を指示した。これは農政の大転換です。

そして小泉前農水大臣は、コメ市場を「じゃぶじゃぶにしていかなきゃいけない」という話をしました。そうしないとコメ価格は下がらないと。なので随意契約などの備蓄米もどんどん市場に投入していったということです。

確かにコメ価格は一旦下がりました。スーパーの小売価格でいうと5キロで3500円台ぐらいまで下がったんですけれども、これいまどうなっていますか?ちょっとまた値上がってきています。5キロで4200円台まで上がって、高止まりしているということです。

そして主食用のコメ、これも増やさなきゃいけないということで、農林水産省HPによりますと、2024年度は679.2万トン。それと比べて今年度(9月25日時点の予想収穫量)は747.7万トン。68.5万トンの増産となっています。

■農水省官僚出身の新農水大臣は一転「需要に応じた生産」

さあ小泉さんからバトンを受け継ぐ、新農水大臣は鈴木憲和氏43歳。44歳の小泉さんより年下になります。

経歴がここポイントなんですが、農水省官僚です。初当選が2012年、いわゆる“小泉チルドレン”で、地元が山形(2区)なんです。趣味は「おいしいお米探し」。座右の銘は「現場が第一」ということで、「生産現場回ります」みたいな。

就任会見でこう言ったんで皆さんびっくりしました。「需要に応じた生産が原理原則。マーケットありきでの生産を考えていく」。つまり、これまでは増産だったんですけれども、「そうじゃないですよ」ということを言いました。

そして農水省もですね、今「減産方向」で考えているということなんですよね。

2026年産主食用コメ生産量の目安は711万トンとする方向。このあたり、農水省の官僚だったので、もしかしたら、もう話はできてたのかなという気もしますけども、現場の声はしっかりと吸い上げていただきたいと思います。

CBCテレビ

 

 

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